残余財産が確定した場合に完全支配関係にある親子会社間で可能な欠損金の引き継ぎには、制限が何かあるでしょうか?

「5年前の日」から株主等である内国法人と他の内国法人との支配関係がある場合以外は、「支配関係事業年度」前の事業年度に係る未処理欠損金額を引き継ぐことが不可能である等、引き継ぎ額に一定の制限が設けられています。

親会社が引き継ぐことのできる子会社の欠損金額は、原則として次の通りです。
法人との間に完全支配関係があり、その法人が発行済株式又は出資の全部又は一部を有する他の法人が、平成22年10月1日以後に解散をして、残余財産が確定した場合において、当該他の内国法人のその残余財産の確定日翌日前7年以内に開始した各事業年度に生じた未処理欠損金額が存在するときは、その内国法人のその残余財産の確定日翌日の属する事業年度以後の各事業年度における欠損金の繰越控除に関する制度の適用については、その前7年内事業年度に生じた未処理欠損金額を、その内国法人の各事業年度に生じた欠損金額とみなすこととされています。
ただし、この未処理欠損金額については、株主等である内国法人と他の内国法人との支配関係(50%超の出資)が「5年前の日」からある場合以外は、「支配関係事業年度」前の事業年度に係る未処理欠損金額を引き継ぐことが不可能である等、引き継ぎ額に一定の制限が設けられています。
なお、「支配関係事業年度」について、法人税法第57条第3項第1項のカッコ書きで「最後に支配関係があることとなった日の属する事業年度」と定められています。それゆえ、実際には、支配関係事業年度とは、残余財産確定日までの間、最後に新たな支配関係が生じた日の属する事業年度のことであるといえます。