子会社間で寄附が行われた際に、親会社が保有する子会社株式につき寄附修正が行われることになります。寄附金を支出した法人または寄附金を収受した法人の株式につき、100%グループ間の寄附による価値の増減がその株式を有している、親法人の売却損益の増減となることを防ぐために設けられた制度になります。
(1)寄附修正の趣旨
法人が寄附金を支出又は収受した際に、寄附金を支出した法人の株式の価値は減り、寄附金を収受した法人の株式の価値は増えるものといえるでしょう。それゆえに、その法人の株式を有する法人が保有株式を売却を行った際には、株式価値の増減分の売却損又は売却益の増減が生じると予測することができます。
100%グループ内法人間の寄附に関しての課税関係を発生させないようにするため、寄附金を支出した法人又は寄附金を収受した法人の株式につき100%グループ間の寄附による価値の増減が、その株式を有している親法人の売却損益の増減とならないようにする必要性があります。そのために寄附修正という制度が設けられることになりました。
(2)寄附修正事由とは
子法人が法人による完全支配関係のある他の内国法人から、受贈益の額で益金不算入とみなされるものを受けた、又は子法人が完全支配関係のある他の内国法人に対し、全額損金不算入となる寄附金の額を支出したことが、寄附修正の事由となります。すなわち完全支配関係のある法人間で寄附があった際は、その寄附をした法人で寄附金が全額損金不算入とされると同時に、寄附を受けた法人でその受贈益が益金不算入とされる場合のことをいいます。
(3)寄附修正事由が発生した場合の調整方法
親法人が保有する子法人の株式等につき寄附修正事由が生じた際、以下の計算式により算出した金額が利益積立金額及び子法人の株式等の帳簿価額に加算されることとなっています(法人税法施行令第119条の3第6項)。
受贈益の額×持分割合-寄附金の額×持分割合
この計算式における持分割合は、当該子法人の寄附修正事由が発生したときの直前の発行済株式又は出資(当該子法人が有する自己の株式又は出資を除く)の総数又は総額のうち、当該親法人が直前に有する当該子法人の株式又は出資の数又は金額の占める割合のことです。
なお、株主における寄附修正は、連結納税制度における投資簿価修正(法人税法施行令第9条第1項第6号・同条第2項)とは違い、直接株式を保有している法人だけが行うということが定められています(法人税法施行令第9条第1項第7号)。