適格合併により移転する資産等は、どのように処理すればいいのでしょうか?

適格合併により被合併法人から合併法人に移転する資産及び負債については、合併法人は被合併法人の税務上の帳簿価額で引き継いだものとして処理します。また、合併法人の資本金等の額と利益積立金額の引き継ぎ処理については、平成22年10月1日以降の合併では、先に資本金等の額の計算を行い、残額を利益積立金額として処理することとされています。

1.受入れ資産及び負債の金額
 適格合併により内国法人が合併法人に移転した資産及び負債については、当該合併法人に当該移転を行った資産及び負債の当該適格合併に係る最後事業年度終了時の帳簿価額として政令で定める金額による引き継ぎを行ったものとして、当該法人の各事業年度の所得金額の計算をすることとされています(法人税法第62条の2第1項、同法施行令第123条の3第1項)。

2.資本金等の額と利益積立金額の計算
 (1)増加する資本金等の額
  適格合併の場合、被合併法人の適格合併日前日の属する事業年度終了時における資本金等の額に相当する金額について、合併法人の資本金等の額を増加させる処理を行います(法人税法施行令第8条第1項第5号)。ただし、合併親法人株式を交付したときには、その合併親法人株式の合併直前の帳簿価額を資本金等の額から減算し、抱合株式があるときには、その抱合株式の合併直前の帳簿価額を資本金等の額から減算することになります。

 (2)増加する利益積立金額
  適格合併の場合、合併法人において増加させる利益積立金額は、次の算式により計算が行われます(法人税法施行令第9条第1項第2号)。
被合併法人の適格合併日前日の属する事業年度終了時の移転資産の帳簿価額-(被合併法人の適格合併日前日の属する事業年度終了時の移転負債の帳簿価額+増加資本金等の額)
ただし、合併親法人株式を交付したときには、その合併親法人株式の合併直前の帳簿価額を利益積立金額から減算し、抱合株式があるときには、その抱合株式の合併直前の帳簿価額を利益積立金額から減算することになります。そして、公益法人等の収益事業以外の事業に属する資産及び負債については、これらの資産及び負債の価額として合併法人の帳簿に記載された金額が、移転資産の帳簿価額及び移転負債の帳簿価額とされます。